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シェアブックス スタッフが送るたわいもない日記
(注)今回は結構長文ですので、時間がある時に読んで下さい!

2012年1月2日、お正月休みを利用して帰郷していた僕は、このブログではお馴染みのスタッフ長谷川氏に誘われるがままに大分県竹田市にある久住山(1787m)に登る事にした。
朝4時半に起床して、皆との集合場所である大津市の道の駅へと車を走らせる。
今回の参加者は僕も含めて、男子8人・女子2人の計10人と聞いている。
僕は初めての参加だが、この1月2日の新春登山は、阿蘇では有名なキャッチフレーズを
パクって「約束の日」と題されていた。
第1回から登っている者は今回で6回目の「約束の日」らしい。
10人の大所帯だから、1人2人は時間に遅れるだろうと思っていたが、
待ち合わせ時間の5時半には皆揃っていた。熊本人にしては律儀な連中だ。
何回も顔を合わせている者もいれば、数回程度会った事がある者、初めて会う人もいた。
陽も上がらぬ薄暗い時間に、僕はそんな皆とぎこちない挨拶を交わす。
2台の車に分かれ、日本の名道50選にも入っているミルクロードを登っていく。
道路脇に積雪が見られるが、例年よりかは雪が少ないらしい。
1時間近く走っただろうか、スタート地点である赤川登山口に到着した。
車外に出てみると、空気はさすように冷たく、予想以上に寒い・・・
本当にこの寒さの中登るのだろうかと一瞬不安になったが、いざ登りだすとその不安は一瞬で吹き飛び、新春冬山登山に興奮している自分がいた。
登りだして15分位たった頃だったか、林道を抜けた所で、急にTっちゃんがリタイア宣言。
僕は最初、唐突に面白くない冗談を言う奴だなと思ったが、どうやら真剣に言っているようだ。
聞くと、昨晩酔っ払って転んだらしく、手には痛々しい傷跡が残っていた。
足も負傷しているらしく、しかも寝ていないという。
よくここまで登ってきたものだ。明らかな準備不足でのリタイアとなった。
だがTっちゃんには悪いが、この思いもよらかなった赤裸々リタイア宣言で、
ぎこちなかったパーティーが大爆笑の渦となり一体感が生まれ、
数分前とは全く別のパーティーに変わったのを僕は肌で感じた。
怪しげな感じ

樹氷

こまめに休憩を挟み、ゆっくりと自然を堪能しながら登っていく。樹氷がとても綺麗だ。
上り2

決して楽とは言えない傾斜のある岩山を、時には常設されているロープを伝いながら登っていく。
悪天候

空を見上げてみると、どんよりと分厚い雲が空を覆い、山全体にはガスがかかり、山頂を望むことは出来ない。
標高を上げていくにつれて、風は段々強くなり、気温も下がっていく。
冬山を登るにあたって、自分が出来うる防寒をしてきたつもりだが、手足に冷たさを感じ始めた。
頂上までもう少しという所まで来ると、「ゴォォーー」という不気味な風の轟音が聞こえてきた。
普段の日常生活では決して聞くことの出来ない自然界の音だ。
頂上

頂上に辿り着いたのはいいが、頂上を堪能する余裕もなく、皆ただただこの強風に耐えている。
油断すると体ごと持っていかれそうだ。
気温はどれくらいだろうか、僕には体感温度で-10度ぐらいに感じられた。
ここでどうするかを皆で話し合った。吹雪いてはいたが、視界がないわけではなかったので前進を決意した。
猛吹雪になって視界がなくなったら、遭難するかもしれないと最悪の事態を想定するも、
昼食を摂るために山小屋へと向かう。
山小屋

山小屋に到着して、皆お腹が空いていたのだろう、それぞれ持参していた食料を貪り尽くす。
僕のご飯はカップラーメンとオニギリだ。
食事を摂ると体温が上がっていくのを感じた。
お腹もいっぱいになって、食後の珈琲を飲んでいると、もう外には出たくないと思った。
だが、そうも言ってられない。当たり前だがここには車も電車もないのだ。
自分の足で降りるしかない。気合を入れ直して出発する。
てっきり後は下山するだけだと思っていたのだが、初期メンバーでガイド役のK君と皆さんお馴染みの長谷川氏が次なる目標地点は中岳の御池だと得意げに言う。
皆の顔をとっさに見渡してみる・・・過半数は行きたくなさそうだ。
この極寒の地を早く降りたいと顔に書いてある。 
でも僕は行ってみたかった。皆には悪いと思ったが、僕は2人の案に賛成した。
天候が悪くなるようだったら引き返そうという事で話はまとまり、半ば強引に御池へと向かう。
寒さ、強風、足の状態等、いろんな事を考えながら歩いているので、時間の感覚が分からない。
多分15分ぐらい行った所か、目の前にガッチガチに氷結した池が現れた。
御池

気付いたら皆寒さを忘れ、その巨大スケートリンクで、各々思い思いに楽しんでいた。
凍った池の上を滑るように進んでいくと、氷のコーティングをした巨大な岩が行く手に現れた。
岩

岩

本物のロックアイスだ。
御池

風は相変わらず強いが、無風になる瞬間もあった。無風の時に周りを見渡してみる。
無音で白とグレーの無機質な空間は僕のイメージする「あの世」に近く、
惑星を感じる事が出来た。「静寂の地」だ。
山小屋2

池の近くにある、もう一つの山小屋で小休憩を入れて、いよいよ苦手な下山開始。
下山を始めてすぐ、朝からどんよりとしていた天気が徐々に変化を見せだした。
下山

晴れ間が見れるかもしれないと、淡い期待を持って、一同空を眺める。
下山2

するとどうだろう、僕らに向かって悪魔のように吹き荒れていた風が上空に向かったのか、
頭上に風の道を作りだした。
ガスは真っ二つに割れ、そこから青空が見えだすと、さらには太陽までもが顔を出した。
晴れた

この劇的な光景に皆で歓喜の雄叫びをあげると、数十秒前まではグレーに染まっていた空が、
いつの間にか見渡す限りの晴天に包まれた。
この感覚はいつ以来だろうか、僕の全身には鳥肌が立っていた。
最高のエクスタシーである。生きている間にあと何度この様な経験が出来るのだろうか。。。
この感覚を文章や写真で伝えるのは難しい。
極とは対照的なものと常に隣り合わせで、全てが紙一重であると、そんな感じの事を何かの本で読んだ記憶がある。
物事は地球と一緒で回っていて、ある一定限を越すと別の対照的なものに変化するとかいう内容だったかな。これは著者の勝手な推測だと思うが、今回はまさにそれを目の当たりにした瞬間だった。
こんな事は日常生活ではお目にかかれない。改めて自然の偉大さを感じた。
そんな事もあってか、下山は全くきつくなく、むしろ高度が下がっていくのが寂しく感じたほどだ。
下山したのは16時ぐらいだったか、記憶が定かではない。時間を覚えていない程その日は興奮していた。
今回、冬山登山の醍醐味を思い存分味あわせてもらった皆に感謝したい。ありがとう。
また来年も「約束の日に」行けるといいな。

最近、山ブログみたいになってきていますが本業は本屋です(笑)
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物資に恵まれている中では、人間本来のものは失われている。】 by 植村直己
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